みなし贈与税とは?
皆さんはみなし贈与税という言葉をご存知でしょうか?税金の一種であることは想像がつくと思います。みなし贈与税とは、「贈与の意図はなかったが、贈与を行なったとみなされる行為」の事です。今回は、その中でも良く耳にする親族間売買に焦点を当てて説明していきます。大きな税金を払う事にならないようにしっかりポイントを確認していきましょう。
みなし贈与税で気をつけるポイント
・課税されるかどうかは税務署がケースごとに判断
・みなし贈与は相続税逃れ対策でできた税
・贈与税と同じ扱いになるので重税
・みなし贈与は取引を行なった後の対策がない(取引前に知っておくことが大事)
そもそも贈与税とは?
・個人から贈与により財産を取得した場合に、その取得した財産に課される税
・ 生前に贈与することで相続税の課税を逃れようとする行為を防いで、相続税を補完する役割
そもそも相続税とは?
・相続等によって財産を取得した場合に、その取得した財産に課される税
・ 財産の価額が高くなるほど税率が上がる超過累進税率を適用
・「資産の再分配を図る」という役割
→※資産の再分配(富の再分配とも言う)とは、お金持ちに課税して得た資産(富)を租税・社会保障・福祉・公共事業などにより、社会の中で富を移転させること
親族間売買におけるみなし贈与税とは
親子売買における贈与税とは、
不動産の適正公示価格に対して掛けられるのではなく、
適正公示価格から実際に購入した金額を差引いた金額に掛けられます。
例えば、適正公示価格3000万円の土地を1000万円で購入した場合、
差引かれた2000万円が対象になり、
みなし贈与税として税率が掛けられることになります。
贈与税は重税です。2000万円の贈与をした場合の贈与税は、
一般贈与の場合だと2000万円ー110万円(基礎控除額)ー250万円(控除額)=1640万円
1,640万円×50%(税率)=820万円が贈与税ということになります。
半分も税金で持ってかれるとは意味がわからないですね。
ただ、こちらも「宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税枠」を使える場合もあるので詳細を確認していきましょう。
宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税枠とは?
「父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります(以下、「非課税の特例」といいます。)。」
国税庁HPより
令和3年12月31日までに契約を締結したものに対して、
要件さえ満たせば最大で1500万円の控除が受けられるということになります!!
計算式はこうなります。
2000万円(贈与)ー110万円(基礎控除額)ー1500万円(特別控除額)=390万円
390万円(基礎控除後の課税価格)×20%(贈与税率)=78 万円(贈与税)
下記贈与税に関する国税庁のHPです。(税率も記載しています。)
どこまで親族間になる?
「親族間売買」における「親族」は、民法で定義される戸籍上の親族と税務署の捉える親族の範囲にはやや違いがあるといわれますが、税務署は明確な範囲を定めてはいません。目安としては、民法上の親族の範囲は、6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族となります。みなし贈与税は相続対策の一環ですので、相続の対象になる親族間の売買はなお注意が必要になります。
親族間売買の諸費用 具体例紹介
親には以下の①仲介手数料②不動産譲渡税③印紙税等の諸費用が発生し、
子には以下の①仲介手数料②不動産取得税③登録免許税④登記費用⑤印紙税等の諸費用が発生する。
【親の諸費用一覧】
- 仲介手数料 171万円
[取引価格5,500万円×3%+6万=171万円]
- 不動産譲渡税 247万円
[譲渡価格5,500万円-(取得費仮4,000万円〈地価の推移を考慮〉
+譲渡費用200万円〈仲介手数料など〉)
-特別控除(店舗や更地などの土地の場合は特別控除無しの為0円)
=課税譲渡所得金額(1,300万円)]となる。
5年間以上の土地所有「長期譲渡所得」による税率は
[所得税15%+住民税5%=適用税率19%]となる。
※5年間以下の土地所有の場合は「短期譲渡所得」となり税率は、
[所得税30%+住民税9%=適用税率39%]となる。
故に[不動産譲渡税=1,300万円×19%=247万円]
- 印紙税 3万円
[取引価格5,500万円は印紙代3万円]
- ~③の合計は421万円となり、
約400万円の諸費用を親は負担することになる。
【子の諸費用一覧】
- 仲介手数料 171万円
[取引価格5,500万円×3%+6万=171万円]
- 不動産取得税 67.5万円
[不動産取得税=(4,500万円×1/2×3%)=67.5万円]
※ただし、取得から3年以内に建物を新築し、完成から2ヶ月以内に税務署に届け出をした場合は約61万円還付される。
③ 登録免許税 90万円
[不動産評価額4,500万円×売買税率2%=90万円]
ただし、令和3月31日までの間に登記を受ける場合は税率1.5%となる。
- 登記費用 10万円
[司法書士への報酬額約10万円]
- 印紙税 3万円
[取引価格5,500万円は印紙代3万円]
- ~⑤の合計は341.5万円となり、
約300万円の諸費用を子は負担することになる。
また、その他にも売買時に確定測量をする場合は追加で40万円ほどかかってしまう。
以上のことから親と子の諸費用で約750万円かかってしまう
まとめ
上記から一般的には親の名義のまま建物を新築し、
後に相続(基礎控除額4,800万円)にて継承するケースが多いです。
仮に、親に評価額4,500万円以外に3,000万円の現金があり、合計資産7,500万円を相続する場合の税率はこうなります。
[(合計資産7,500万円-基礎控除額4,800万円)×税率15%-控除額50万円=355万円]
ただし、上記の355万円の相続税は子が一人で全額贈与を受けた場合の相続税となり、
片親の生存、兄弟の人数などによって355万円以下になる可能性が高いです。
親が所有している土地に家を建てる場合は、親の名義のまま家を建てさせてもらう方が節税になるという事になります。
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