鉄骨には種類がたくさん!!
鉄骨造の家は、「steel(鋼鉄)」の略でS造と呼ばれていて、骨組み(躯体)に使用された建物の事を言います。 実は、2種類大きく分かれていて重量鉄骨と軽量鉄骨があり、おのおのメリット・デメリットがあります。 また、家を建てるときの工法もいくつか種類があります。 木造の家と同じような構造をして作られる工法や、工場作って現場で組み立てるだけの工法などなど。 今回は、意外に色々な種類に分けられる「鉄骨造の家」について詳しくご説明していきます。
重量鉄骨?重量鉄骨造の家の特徴
重量鉄骨とは?
重量鉄骨とは、鉄骨の肉厚が6mm以上(一般的には9mmや12mm)の鋼材を使用します。 構造上、少ない柱で家を支持することができる為、圧倒的に軽量鉄骨造の家よりも間取りの自由度が高くなり、 思い描く理想の家づくりがしやすいというメリットがあります。 しかし、鉄骨の重量が重いです。それを支える地盤が強くなければいけなかったり、 工程が他構造と比べると多くなるなどの理由からコストがかかってしまうというデメリットもあります。 ですが、役所の施設が重量鉄骨造かRC造という事からも分かるように 3階建て以上の建物に適した耐震性があるのも特徴になります。
重量鉄骨造の家の工法
重量鉄骨ラーメン工法
鉄骨造の工法は、ブレース構造、ラーメン構造が一般的です。 ブレース構造は筋交いを使う方法ですが、ラーメン構造は柱と梁を完全にボルト固定(接合)しているので、強固で筋交いが不要とされています。 ラーメン構造は、シンプルな構造という事もあり、組み立て精度も良く工期が短いことと、品質が均一になってくるのが特徴です。 軽量鉄骨は元々プレハブ住宅で採用されることが多いです。 ラーメン構造をとるのであれば、やはり重量鉄骨がおすすめです。 ただし、他構造で比較するとコストが高くなってしまうのも特徴です。
重量鉄骨ユニット工法(プレハブ工法)
軽量鉄骨のユニット工法と比較してみると鉄骨の総使用量はさほど大差なく、施工工程も少ししか変わりません。 単純に鉄骨の肉厚が違うだけです。 強いて言うなら、重量鉄骨の方が重い分だけ耐久性に優れていると言えますが、建物は「地盤、構造設計、施工」などが評価基準となります。 固定資産税評価も、軽量鉄骨ユニット工法と同じ評価基準が用いられているので 材料コストが高い重量鉄骨を使う必要があるのかはそういった意味では合理的かと聞かれると疑問が残ります。
軽量鉄骨?軽量鉄骨造の家の特徴
軽量鉄骨とは?
軽量鉄骨とは鉄の肉厚が6mm未満で、鉄板を曲げて作ったものです。 軽量鉄骨造の家が適している土地には、地盤に大きな問題がなく、間口が狭い土地があげられます。 逆に、地盤が硬くて耐地力がある場合は重量鉄骨の家が向いていたりします。 大手ハウスメーカーの鉄骨造には、軽量鉄骨造が圧倒的に多いです。 重量鉄骨造の家を検討している場合は、施工できる建築会社が圧倒的に少ないので注意が必要です。
軽量鉄骨造の家の工法
軽量鉄骨軸組工法、軽量鉄骨ラーメン工法
軽量鉄骨軸組工法は、木造在来工法(木造軸組工法)と同じような考え方で作られる工法です。 柱、梁、筋交いを利用しており、ブレース構造と言われています。 また、筋交いを利用しないラーメン構造という柱と梁を一体化した方法で作られることもあります。 軽量鉄骨自体は、工場で大量生産された材料を使います。 その為、精度や品質がある程度安定しています。 デメリットは、家を建てるときの自由度は低くなったり、リフォーム・増改築をする際に困難な場合がある事です。
軽量鉄骨ユニット工法(プレハブ工法)
ユニット工法は、現場での溶接を工場で済ませてしまい、現場ではボルト等で組み立てていくだけのシンプルな作業工法です。 また、ユニット(パネル)は建設地に運び込まないといけないので、 狭い道路などでは搬入が困難なために完成までに時間がかかってしまう場合もあります。 建設地によっては、そもそもこの工法を使えないというデメリットが生じる場合があります。
重量鉄骨造の家の工期や費用は?
重量鉄骨造の家は、材料のほとんどを工場で作っています。 実は工場での準備段階に時間がかかるので設計4ヶ月+工事に8ヶ月の トータル12ヶ月がスタンダートになってきます。 もちろん建物の規模によって前後していきます。 費用はやはり木造よりも高くなってしまいます。 軽量鉄骨だと安くても坪単価にして60万くらいからではないでしょうか。 重量鉄骨になると安くても坪単価にして70万円前後が多いです。 戸建て住宅なのか共同住宅なのか、規模や仕様によってピンキリと言うのが本音です。 その辺りはしっかりと契約前に要望通りの間取りか・仕様かを確認する必要があります。
鉄骨造の家の耐震、耐火性は?
鉄骨造といっても鉄骨だけで耐火性があるとは言えません。 木造のように燃えて消し炭になることはありませんが、鉄は熱を加えると曲がってしまいます。 そのため、耐火被覆材や防錆処理を行なった鉄骨を使って、優れた耐火性、防サビ性を保っています。 その分、工場で塗装工事などをすることで準備段階に時間がかかっています。 ただ、この処理があることで火災保険料等が木造に比べて安くなるメリットがあります。 重量鉄骨の家が耐震性が高いことは公共施設で重量鉄骨造が採用されていることからもわかると思いますが、 それだけではなく土地の状況や、材質とそれに付随する構造設計や地盤改良、施工管理の丁寧さがあってこそです。 単純に鉄骨だから強い、木造だから弱いという事だけではない事を覚えておくと良いですね。
鉄骨造の家の住み心地は?
法定耐用年数を見ても、木造と比較すると重量鉄骨造の家の方が長いことからも耐久性に優れていると言えます。(木造22年重量鉄骨造34年) また、素材を比較すると耐火性、耐震性にも優れていると言えますので、家の構造の頑丈さや耐久性をを住み心地の指標にしている方にはおすすめです。 しかし、熱を伝えやすいといったデメリットもあるので断熱材の選定には注意が必要です。 また、縁側があって日本らしい昔ながらの家を住み心地が良いと感じる人には不向きな可能性が高いです。
木造の家との違い
ここからは、他構造と比較し、簡単にまとめていきます。 まずは住宅だと圧倒的に多い木造からです。
構造の違い
- 木材軸組工法(在来工法)を採用した構造
費用や工期の違い
- 材料費、コストが圧倒的に安い
- 1坪あたり50万円〜60万円くらいが相場
- 家の仕上がりに職人の技量が左右する場合が多い
耐震性、耐火性を比較
- 鉄骨造よりも耐久性は低い(法定耐用年数22年)
- 風雨により劣化しやすい、火に弱い、地震の衝撃を吸収できない為耐久性は年々落ちていく
- シロアリなどの被害が多い
住み心地は?
- 自然素材の暖かみがあり鉄骨造の家よりも住み心地が良い?(人による)
RC造の家との違い
次に、RC造(鉄筋コンクリート)の家との違いです。
構造の違い
- その名の通り鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造
- マンション、ビルなどに多く採用されている
費用や工期の違い
- 1坪あたり90万円~くらいが相場(圧倒的に高い)
- 木造、鉄骨よりもコストが高い
- 地盤が強固である必要がある
- 戸建てを施工する会社は案外少ない?
耐震性、耐火性を比較
- 鉄筋とコンクリートの併用のため、耐久性と耐震性に優れている
- 法定耐用年数は47年と木造・鉄骨造よりも圧倒的に長い
- 工期は6~8ヶ月くらいが多い
住み心地は?
- 熱の影響を受けやすく、鉄骨造よりも一層断熱には注意が必要
- 間取りの自由度は重量鉄骨造同様に高い
- 壁を取るなどしずらいのでリノベーションには不向き
まとめ
今回は、鉄骨の家について、他構造と比べてみました。 鉄骨の家といっても、依頼する建築会社によって工法・仕様の違いがあるので、それぞれにメリット・デメリットを吟味する必要があります。 また、最近だとハウスメーカーごとで工法や材質を差別化してたり、建築会社によってはいくつかの工法をミックスした併用工法などを採用している場合もあるので 建築会社の言いなりにならないように注意と勉強が必要になります。 ここまで構造によって、メリットデメリットが違う事をご説明してきましたが、 あなたの土地や要望に合った構造が何なのか具体的に検討してみないと分からない事がほとんどです。 その為に、まずは気になる建築会社に簡単な間取りを描いてもらうところから始めてみましょう。 おそらくほとんどの建築会社が無償で間取りを描いてくれると思います。
(設計事務所や建築家さんは費用がかかる場合があるので注意が必要です)
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